
「IT導入補助金」は、数年にわたり続けて実施されている補助金制度です。名前を聞いたことはあっても、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
また、既に利用経験のある方も、今年の変更内容を確認することをおすすめします。近年、ITの導入は企業の競争力を高めるために不可欠な要素となっています。しかし、中小企業や小規模事業者にとっては、高額な導入費用がハードルとなることが多いのが現実です。そこで登場するのが「IT導入補助金」です。この補助金制度は、中小企業庁が中心となり、IT導入にかかる経費の一部を補助してくれるもので、効果的なIT戦略を展開するための支援を提供しています。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者に向けて、ITツールの導入にかかる経費の一部を補助するための制度です。この補助金を活用することで、生産性向上や業務の効率化、インボイスへの対応を図るためのITツールを導入する際の負担を軽減できます。IT導入補助金の特徴を以下にまとめました。
1. 補助金の種類
IT導入補助金は、2023年現在、以下の4つの種類が存在します。
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通常枠 (A・B類型): 生産性向上を目的とした補助金で、ソフトウェアやクラウド利用費などが対象です。
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デジタル化基盤導入類型: 生産性向上とインボイス制度への対応を見据えた企業間取引のデジタル化を支援する補助金です。
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セキュリティ対策推進枠: サイバーセキュリティ対策の強化を目的とし、対象サービスの利用料を補助します。
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複数社連携IT導入類型: 企業連携に関連するIT導入に対する補助金です。
それぞれの種類には異なる条件や補助率が設定されており、企業のニーズに合った補助金を選ぶことが重要です。
2. 補助金の額
補助金の額は、種類によって異なります。
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通常枠 (A・B類型): A類型は5万円から150万円未満、B類型は150万円から450万円以下まで補助されます。
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デジタル化基盤導入類型: 下限なし~350万円までの補助があり、補助率も補助額によって異なります。
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セキュリティ対策推進枠: 5万円から100万円以内まで補助されます。
各種類ごとに異なる補助金の額を確認し、自社の予算やIT導入の計画に合ったものを選びましょう。
3. 補助対象経費
IT導入補助金で補助される経費は、以下のようなものが含まれます。
- ソフトウェア購入費
- クラウド利用費 (最大2年分)
- ハードウェア関連費
- 導入関連費
これらの経費を補助してもらうことで、IT導入プロジェクトの負担が軽減されます。
どんなITツールが対象?
IT導入補助金の対象となるITツールは、事前に事務局によって認定されたものに限られます。このため、補助金を受けるためには、認定を受けたITツールを選定する必要があります。
以下は、一般的に対象とされるITツールの例です。
- 見積・積算システム
- 受注・原価管理システム
- 販売管理システム
- サイバーセキュリティ対策ツール
また、デジタル化基盤導入類型ではPCやタブレット、レジや券売機も補助対象となります。
補助の対象・対象外となる事業者
IT導入補助金は、対象となる中小企業や小規模事業者等に向けて提供されています。ただし、一定の要件を満たす必要があります。
対象となる事業者
- 中小企業であること(業種、資本金、常時使用する従業員数で判断します)
- 納税証明書等必要な書類を提出できること
対象外となる事業者
- 大手企業
- 一部上場企業
- 特定業種(例:宗教、風俗営業等)
特定業種や大手企業、一部上場企業は補助の対象外となります。また、IT導入支援事業者(役員を兼任する会社を含む)も補助の対象外です。
事前に準備が必要なもの
IT導入補助金を受けるためには、いくつかの事前準備が必要です。最も重要なのは、「GビズIDプライム」の取得です。
GビズIDプライム
GビズIDプライムは、IT導入補助金を申請するためのオンラインシステムであり、事前に登録が必要です。以下は、登録の主なステップです。
- GビズIDプライムの公式サイトにアクセスします。
- 必要事項を入力し、登録申請を行います。
- 印鑑証明書等の提出が必要なため、実印を捺印した申請書とともに郵送手続きを行います。
- 登録完了後、GビズIDプライムを利用してIT導入補助金の申請を行います。
GビズIDプライムの登録は1週間以上時間がかかり、かつ補助金を受けるために欠かせないステップなので、しっかりと準備しましょう。
まとめ
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者にとって、IT導入を支援する重要な制度です。補助金を受けることで、効率的な業務プロセスの構築やセキュリティ対策の強化が可能となり、競争力の向上につながります。補助金の種類や条件、対象経費を確認し、IT導入プロジェクトを成功させるために活用しましょう。また、GビズIDプライムの取得など、事前の準備もお忘れなく。IT導入補助金を活用して、より効率的で競争力のあるビジネス環境を築きましょう。