中小起業の社長さんとお話をしていると、今後新しい取り組みや、新しい事業をしたいというようなアイディアをもたれている方が多くいます。しかし、自社だけで全て行おうとしても、資金、技術、時間や人材などの経営資源の不足のためアイディア段階で止まってしまっていることも多いようです。社長さんとしても、普段から本気で事業アイディアを考えているだけに、経営者同士の飲み会でも、「こんなことを考えているんだ」というような話になることもあります。相手も経営者だけに、「それならこうしたらいいよ」とか、「この技術はA社ならできると思うから紹介するよ」などとトントン拍子に話が進んでいくことがあります。実は当社もこのような流れで設立されました。

近年、株式会社を作ることが非常に簡単になりました。役員は最低一人でかまいませんし、資本金の金額に制限もありません。2社目や3社名でもいっこうに問題なしです。また、おもしろそうなアイディアであれば、相談に乗ってくれていた社長さん達も一枚かませろと言わんばかりに個人として出資してくれたり、役員として入ってくれたりすることもありますので、現実的に事業として動き出す例をたくさん見てきました。もし、このような応援をしてくれる出資者の方々にしっかりと報いることができる制度があるとしたら使ってみたいと思いませんか。それが起業応援税制です。

もともと、ベンチャー企業の創業期から支援してくれるエンジェルと呼ばれている投資家にメリットを与えることで、ベンチャー企業に十分な資金を提供しようという目的でつくられた税制なのでエンジェル税制とも言います。出資者に対しては配当や株式買い取り以外にも、商品やサービスを株主優待として配付したり、割引したりして報いることもできますので、人によっては2度3度と出資してくれることもあります。上手に使えば会社もたくさんのお金を集めることが可能です。

提供できるメリットとしては、①出資額を寄付金として扱ってもらうことで、出資者の方が他の給与などで支払っていた税金の還付を受けることができること、②他の株式の譲渡益がある場合、出資額を必要経費に算入して税金を減らすことができるということで、①と②はどちらか一方を選択することになります。①は年間1,000万円が上限になり、最大400万円近くの所得税が還付されてきますので非常に喜んで頂けます。②は他の株式の譲渡益がある場合にどちらが有利かを検討してみるという形で良いかと思います。

特に設立1期目の株式会社(株式会社のみ適用可能)の場合要件が少ないので狙い目です。大まかに言うと、①親族以外の外部株主が発行済み株式数の1/6以上を保有していること(議決権がない株式でも可)。②新商品や新サービスの開発や広告宣伝、マーケティングなどを常勤で担当する方が2名以上(無給の役員でも可)いること、③A4で1枚程度の事業計画を有していること、④経済産業局に確認申請を行うことです。その他細かい要件もありますが、事前に知ってさえいれば比較的容易に満たせると思います。適用できるタイミングである設立時と増資時にこれらの要件を満たしているかどうかを証明することになります。

多くの場合、お友達や取引先の社長から出資を受けることが多いので、①は問題なく満たせると思います。特に議決権は関係ないので、意見の合わない株主を入れて問題になるリスクも低くなります。②は社長さんの他に誰か役員として手伝ってもらうケースが多いようです。できたばかりの会社の活動としてはほぼこの活動が多いのでクリアは容易です。③は計画をつくれば良いだけですし、④の申請も比較的簡単な部類です。

実際に控除を受けることができる株主は、設立した会社の同族株主以外である必要がありますので、株式の過半数を持つ方や、3人以内で株式の50%を持っているような影響力の大きい方ではダメです。また、還付を受けるためにはきちんと確定申告をして頂く必要があります。

インターネットで「エンジェル税制」と検索して頂ければ、経済産業省のホームページが出てきますので、申請書類の書式やクリックするだけで要件が判定できるシートもあります。当社でも使っていますし中小企業経営者には是非知っておいて頂きたい制度の一つです。

http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/